ストーリー

聞くことは山ほどある。

ただそれを聞くにはいくつかの手順を踏まないといけない。

そう、それはギターのチューニングよりピアノの調律より微妙な作業。

ノックの回数は合っているか？　中からの返事はちゃんとあったか？

ドアノブの握り方を間違っていないか？　ノブの回す方向は左で良かったっけ？

扉は押すんだっけ？引くんだっけ？

その手順がうまくいった時にだけ君はその部屋を開いてくれる。

そして、そこには今日1日のストーリーが収穫されたてのりんごのように

カゴいっぱいになって聞いてもらえるのを待っているのである。