中秋の名月近く

17:33、夕陽を背に受けながら
彼は人混みの中、荷物を両手に急いでいた
空を見上げていつものように確認する
今日の彼にはプレッシャーが圧し掛かる
『なんとか形になるものを撮らなければ』
そう考え続けている間に時間が立つ
18:33、彼は誰もいない芝生のあぜ道を一人で歩いていた
背中には機材を詰めたリュック、肩には三脚
撮影地に着く途中、もう既に昇り始めた月がビルの陰に見えていた
『急がなければ』
その言葉が彼の足を追い立てる
5分前、冷たい南からの風が強い中レンズを東に向ける
いつものことだが
『今日も間に合った・・』 ひとこと呟く
その先には淡黄の名月近くの月がマンハッタンの先に現れていた。
by triangleny | 2013-09-24 00:39 | Moon | Comments(0)