彼女に見せたかったこの1枚

あの坂道で彼女に出会わなければこの1枚はなかった。
昨晩は運が悪く電車もうまく乗換えできず、
諦めて捕まえようと思ったタクシーも日曜の晩なのか1台もいなく、
月の出の時間だけが迫り焦っていた
やっと来た路面電車に乗り込み最寄の駅に着いた時には予定7分前、
歩いて15分はかかるところをもう走るしかないと決めてドアが開くのを待った
電車を文字通り飛び降り、望遠レンズが二つにカメラ2台と2.5kgくらいはある三脚を肩に提げ、
もう既に出ている月を考えながら
『マンハッタンのビル上空に出るにはまだ少しある』と自分を落ち着かせ、線路沿いをひたすら走った
すると、右に曲がって踏み切りを渡った交差点の先、坂の途中で1台のタクシーが停まる
『どこにいくの、あんた?』
『この崖の上なんだけど・・・』はぁはぁと息を切らしながら答える
『乗っていく?』
『すぐそこだけど乗せてくれるの?』
『構わないから行くんだったら早く乗って!』
『ありがと!!』
後部座席のドアを開けると一人の黒人の女性が既に乗車しており相乗りさせてくれたのだった
『このドライバー、良い人でしょう~?』彼女もこのドライバーのおばちゃんを気に入っているらしい
歩いていくと15分くらいの所を車なら僅か3分で着く。
お目当ての公園まで乗せてくれ$10を渡しお礼を言い、急いでポイントに向かう
慌ててカメラをセットし、大きく息を吸い込み時計を見ると予定の1分前
落ち着いた気持ちでファインダーを覗き、建物の影に光る角を見つける
『出た!』
あの電車を降り必死で走っている時にはもう99%諦めかけていたのに
踏切を渡り、息を切らしながら坂道を前にした時はもう走って上れないと思っていたのに
カメラに収めれなくていいから出てくるポイントだけでも一目見ようと思っていたのに
あの坂道で彼女の親切がなかったらこの1枚はなかった。
ありがとう。
by triangleny | 2013-10-29 07:14 | Moon | Comments(6)
それを拝見するのもまたワクワクしますね^^
ありがとうございます。
ほぼ毎回どこかで何かが躓きます。
車があれば全然問題のない話なのですが、あいにく持ち合わせていないので
毎回ドキドキでギリギリ現場到着といった感じでしょうか。
今回は1:12am月の出だったので帰りはもちろん路面電車もなく、
最寄の駅まで行くのに1時間近くは歩きました。
往復3時間半もかけて撮影は20分、どうなんでしょう。
それでも良いものが撮れた日は帰り道は何の苦にもなりません!
ありがとうございます。
この日の月はmimirinさんのおっしゃるとおりしっとりと優しく出てきました。
ビルの角に月の欠片が見えた瞬間から緊張が走りました。
なんとかカメラに収めれたので良かったです。
今月も後二日、お互い頑張りましょう!
ところでこちらはご覧になりましたか?
http://triangleny.exblog.jp/18799995/
ははは!少しはこちらの状況が伝わりましたか~?^^
ほぼ毎回こんなことをどこかでやっています。。
今回はほんとに無理だと思い諦めていました。
ただ息と足の筋力が続くまで走ってやろうと思いました。
電車を降りた瞬間から走っていなかったら
踏み切りであのタクシーには遇わなかったでしょうし、
今回はほんとに奇跡ですね。
その時に出来ること・知っていること・持っているもの全てを使ってでも手に入れれなかったんだったら、
それは『縁がなかった』と諦める姿勢でいつも臨んでいます。
車はないんですけど、タクシー使えればあちこちいけるのですが、
毎回そんなお金の掛かることもできないし、
行ったからといって確実にそこで良いものが撮れるとは限らないこともあるし。
なので、電車を乗り継ぎぼっちらぼっちら行きます~。
その行く途中・帰る途中で新しいロケーションを見つけたときは凄く嬉しいですけどね!
この1枚、本当にあのタクシードライバーに見てもらいたんですよね~。