入り口Ⅲ
『そのときには見えなかったんだ』
『そういうこともあるよ』
『けど、まさかみんなの見ている前で頭から飛び込むわけにもいかないだろう?』
『へんな人って思われるのが嫌だから?』
『そうだね..それにそんな小さなシャボン玉に自分が入れるなんて考えつかないよ』
『想像力の欠如だね、風が気持ちの良い春になったんだしそろそろ凍った頭を溶かさないと、』
『そうだね、それにしても暖かい土曜の午後だったよ。夕方からは雨になったけどね…』
『April showers bring May flowers.』
『今年も春が始まったね、また探してみるよ』
『幸運を祈るよ、僕はいつでも待っているから』
『いつでも待っているけど入り口は時々しか開かないんだろう?』
『そう、時々。それは悪いけど僕にもいつ開けれるか分からないんだ』
『じゃあ頭の氷を溶かして考えてみるよ、時々・・・面白い響きだね』
『ありがとう』
『じゃね。』
4月の優しい雨が5月の花を芝生を育ててくれる
桜もそろそろ散り始め、木々の芽が出始めた
またチャンスはやってくるのだろうか?
さて、と僕は左足を一歩前に出した。
※前回の『入り口Ⅱ』からの続きです。
by triangleny | 2014-04-29 06:54 | Landscape | Comments(0)