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1月20日、日曜の夜
火星が西の空に沈むころ
僕はDowntownを徘徊していた
今回はUWSもMidtownも下見に行ったが、中々思う場所が見つからない
エンパイアステートビルと合わせたいが、ライトアップされているビルのトップとBlood Moonの露光調整の問題、
クライスラービルと合わせるにしてもBlood Moonを大きく見せるためにはビルのとトップが構図に収まりきらない
それならと、Downtownに絞って幾つかの候補地を見つける
今回の皆既月食、
スタートは23:41
Maxの時間は0:12、
Blood Moonは真上
天体の月として撮るのは簡単だ
しかし、『月とNew York』をテーマにして撮り続ける者としては
これを風景画の中での月としてとらえる場所を探すのに苦戦していた
候補地は大きく3つ
どれも近くにあり、皆既月食時間中(1時間ほどの間)に歩いて行ける距離だ
もし、この3つともが駄目だったら...?
その時は妥協する作戦も視野に入れておかないといけない
さて、左頬に突き刺す寒さをこらえ、Woolworthビルを見上げる
先ずは候補地の最終チェック
22:12、皆既月食スタートまで29分
煌々と光るスーパームーンを見上げまずは1枚テストシュート
この時はまだ満月も真上には来ていない
『これくらいなら良い感じに撮れるのに・・』
一人ぶつぶつ言いながら、次へと向かう
次に狙っているところはストリートの幅に限りがあり、
『これは実際にBlood Moonがどの位置に来るかはその時になってみないと分からないな・・』
と、テストシュートを諦め3つ目の候補地へと急ぐ
3つ目の候補地、ここはかなりの広さがあり、まずはここで『安全牌の1枚を残そう』と決めていた
セッティングをし、テストシュートを始める
22:42、皆既月食が始まって9分後
思い通りの1枚が撮れる
『このままここでBlood Moonを撮り続けよう』
と決め、少しずつ移動するたびに構図を変えつつ撮り続ける
22:54、スーパームーンの1/3が隠れる
時折、流れてくる雲も入れつつ順調に撮影を続ける
23:08、半分が隠れる
23:20、Blood Moonになる21分前で一つ問題が発生!
写真を見てもらえれば分かると思うが、
少しずつ方位が高くなるスーパームーンに比較対象物としての副主題である建物が上手く入らなくなってきたのである
初めは、建物の左上の位置にBlood Moonを配置し、撮影を続けるが、
構図に入らなくなってきたので右上の位置に変更
23:28、Blood Moonスタートまで13分でスーパームーンはこの位置
『ここは800mmに拘らずに少し月を小さく入れ込み背景重視に変更か?』
『それとも今から別ロケーションに移動か?』
『仮に移動したとしても20~30分かかり、もしうまく到着できなかったら撮影開始がもっと遅れる』
『そうなるとBlood Moonが終わってしまうかもしれない・・』などと考えつつ撮影を続ける
これ以上は無理だと判断し、比較対象物を変える
23:41、Blood Moonスタート!
まずはこの1枚を収める
澄み渡る空の中、Blood Moonの周りに星もきれいに映り込むが、納得がいかない
次に位置を変えビルの右側へ移動
4分後の23:45の1枚
23:51
この1枚を最後に一つ目の候補地を後に次へと向かう
二つ目の候補地に到着、だがBlood Moonがあまりにも高く真上で
撮影をしてみるが、上手くアングルを見つけられないのと車道の中に身を置くことにもなり撮影断念
そこで、下見しているときに見つけた近くのビルで撮影を試みる
0:03の1枚
0:09の1枚
いずれもいまいちピンと来るものがない
手はかじかんで動かなくなってくるし、気持ちも焦り始める
リュックで肩が痛く、寒さで顔が痛く、手も痛く動かなくなってくる
この時の体感温度は0℉(-17.7℃)
ここは決して山の中ではなくニューヨークの街中
撮影後に下山する心配もないし、クマなどに襲われることもない、道に迷うこともない
それでも2時間この気温の中にいると体がおかしくなってくる、寒さで涙も出てくる
最後は3つ目の候補地にかけるしかないが、2日前の下見ではうまく良い場所を見つけ出すことができなかった
Wool Worth Building、このビルの近くに到着し月を見上げる
ビルとビルの間に入ってBlood Moonが見えない
月のおおよその位置をイメージしながらストリートを一つ移動
見えない
時間は0:20、Super Blood Moon終了まであと21分
また一つ移動
見えない
0:25 そして、ようやく工事現場と閉まっている店の間に何とか場所を確保
『ここしかない!』
とセッティングを始め撮影再開
0:26、この1枚が撮れる
構図は1913年からの歴史あるWool Worth Buildingのネオ・ゴシック様式の模様を画角800㎜でSuper Blood Wolf Moonと合わせる
ビルの模様がなんとも美しい
やはり他のビルとは格段にデザインの繊細さが違う
それでもビルから突き出ている棒のようなもの位置がBlood Moonとあまりに近く何か構図に違和感を覚える
月が移動する動きに合わせて残り17分の中アングル変更に集中する
0:31、Blood Moon終了まで12分の中、ようやく自分のイメージ通りの1枚が撮れる
これ以上撮影を続けるのは困難と判断し、Blood Moonが終わる前に撮影終了
今回もまた色々勉強になった
また次のBlood Moon撮影の時に生かせればと思う。