2020年3月からニューヨークの1年間を写真と動画を組み合わせ、一つの作品に仕上げました。
ニューヨークではここで取り上げられていない様々な出来事もありましたが、
私が実際に見てきたものを通してこの1年間のニューヨークを感じていただければ幸いです。
また、この作品の中には、
私が2011年から取り組んでいる”月とニューヨーク”をテーマとした作品も入れております。
”月とニューヨーク”についてのブログ記事はこちらをご覧ください。
2011年から撮り続けているスーパームーンについての記事はこちらをクリックしてください。
尚、この作品のBGMはニューヨークをベースに世界で活躍するピアニスト:浅井岳史氏に担当していただきました。
浅井氏より、この作品の作曲が出来上がった背景を”作曲者ノート”として以下に記載しておきます。
Jazz Pianist Takeshi Asai's Official Site
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Sound Track "New York in the year of Pandemic"
(Commissioned by S. Ueyama)
始まり
秒針と感染者数の推移、危機的な状況をただ一つの音の強弱と緊張感のあるハーモニーで
このフィルムのタイトルを表現してみました。
春
NYの音、それは私にはいつも四度で構成された現代的な和音になります。決してクラシカルな三度の和音ではない。
春が来て花が咲く頃にやってきたロックダウンと街に走る政情不安、重く緊張感のある和音を使いました。
夏
NYの夏はパンデミックでも平時でもいつも美しいです。
制限付きの短い夏を謳歌するニューヨーカーたちの姿を思い浮かべると、
一気にメロディーが出てきてワンテイクの即興で夏に音をつけることができました。
秋
今まだ深く心に残り続ける911、当時の緊張感を思い出しながら、
それでも前に進むニューヨーカーたちの心を音にしたらこうなりました。
中秋の名月、その高揚感は、どこかドビュッシーを連想させるハーモニーとスケールでまとめてみました。
そして、黄色くなり始めたセントラルパークを見ると、
必ず聞こえてくるのがジャズの名曲、「オータムン・イン・ニューヨーク」
911のシーンの最後の音を、この曲の最初の音に伸ばして、ソロピアノジャズで演奏してみました。
冬~春
クリスマスのこの美しい最初の映像をみて、出てきたのは瀟洒な「Angels We Have Heard On High」。
これ以外のチョイスはなかったです。
そのまま、合衆国大統領のテーマ「Hail to the Chief」、さらにそのままNYを襲った大雪に。
大雨は大音量ですが、大雪は静寂です。
時間が止まったようなその静寂さを最小限の音で表現し、待ちに待った春の到来へ。
花が咲き始め、人々が外に出て、太陽が眩しくなり、ニューヨークに活気が戻ってくる様子を単音のメロディーから、
少しづつ音を重ね、最後は重厚に和音に展開していきました。
その過程は、演奏していて喜びに溢れるものでした。最後の太陽は素晴らしい画像です。
そこに、再び平和が訪れることへの希望を込めて、あえて完全終始ではなく不完全終始で終わらせました。
素晴らしい映像の音楽を作らせていただく機会、心から感謝です。
浅井岳史
March 27, 2021
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この作品が皆さまの心にどう響くかはひとりひとり違うのはもちろんですが、
一歩前に踏み出すひとつのきっかけになることを願います。
このフィルム製作にあたり、ご協力していただいた皆さまに感謝致します。
April 2, 2021